• Case. 02

  • 新東名高速道路 秋山高架橋(PC上部工)工事

  • 新東名高速道路 秋山高架橋
    (PC上部工)工事

  • 概要

  • 新東名高速道路は、神奈川県海老名市の海老名南JCTと愛知県豊田市の豊田東JCTを結ぶ総延長約330kmの高速自動車道である。現在、建設が進められている海老名南IC~御殿場JCT間が供用されると、新東名高速道路は全線開通となる。本プロジェクトは、建設中区間のうち伊勢原北ICのランプ橋につながる秋山高架橋(上り線延長約570m、下り線延長約730m)の架設を担うものである。

プロジェクトの相関図

Point.01

未来へとつながる新しい物語を紡ぐ

未来へとつながる
新しい物語を紡ぐ

1969年5月26日、日本の大動脈とも言える東名高速道路が全線開通した。それから約50年が経過し、老朽化に伴う補修やリニューアル工事の実施は、安全で、快適な高速道路利用のためには不可欠となっている。こうした工事を実施するにあたっては、頻発する渋滞の緩和に貢献する迂回路線の実現が求められた。また、海側を走る東名高速道路が、台風などの影響で通行止めになることが多かったため、新東名高速道路は災害時のバイパス路線として山側に計画されている。加えて、伊勢原北ICの開設は、大山への登山客をはじめ多くの観光客を呼び込み、地域の活性化につながる事業としても期待されているという。2016年2月15日の入札公示を受けて、川田建設ではあらかじめ設定された工期から現場に投入すべき1日あたりの作業員数、各種機材の導入時期、材料の手当等を見込んで、工事全体でかかるコストを積み上げていった。このコスト算出にあたっては、ICにつながる橋梁であることもあり、交差道路が多く、道路交通への影響や安全に十分に配慮した計画が求められ、また埋蔵文化財の調査範囲となっているため、この点への配慮も必要であった。さらに、安全管理や品質管理面での課題に対して、川田建設としてどのような技術提案ができるのかを検討し、提出する必要もあったが、これら全てを限られた時間内に完了させ、入札に臨んだのだった。

Point.02

張出施工と固定支保工施工

川田建設に朗報が届いたのは、入札から約1週間後のこと。競合する多く企業が存在する中で受注を勝ち取ったことが伝わると社内は沸き返った。しかし、現場施工を担当する者たちは、ここからが本番と気を引き締めていた。厳しい工期内に施工を完了させるためには、さらに緻密な施工計画の策定と工程の管理が求められる。支給された基本設計書に目を通すと、多くの課題が浮上した。それらを一つひとつ精査し、施主に対する施工提案を行いながら、詳細設計、施工図へと落とし込んでいく。さらに社内に蓄積されたデータを集め、これまでの経験と照らし合わせながら、現場における作業手順や作業効率に配慮、要求性能を満たし、なおかつより高い安全性と工期の短縮にも貢献できる施工計画を練り上げていった。そして、いよいよこの計画が承認され、現場に作業員が投入され工事がスタートすることになった。懸案だった交差道路上は、桁下空間に左右されない張出施工を行い、交差道路がない範囲も埋蔵文化財の調査が行われているため、固定支保工施工の中でも桁下空間を確保しやすい梁支柱式支保工による施工を行うこととした。一方で工期短縮のためには、これらの施工を、橋脚が引き渡され次第、順次、同時並行で進めて行く必要があった。そのためには、張出施工に使う移動作業車や固定支保工施工のためのトラス材やベントを、集中的に導入しなければならない。 そしてここでも川田建設ならではの強みが発揮された。社内に機材センターを持ち、自社開発の使い勝手のよい機材を多数揃えているため、機材の導入を計画的に機動力を持って行うことができたのだ。16機の移動作業車が、それぞれの橋脚上から左右に張り出していく光景は、まさに壮観の一語に尽きるものであった。

Point.03

受け継がれ、語り継がれるもの

受け継がれ、
語り継がれるもの

秋山高架橋の架設工事は、現在も続いている。完成後には、新たな日本の大動脈として、人々の移動や物流を支えていくことになる。そして周辺地域の活性化にも大きく貢献することになるだろう。同時に、この橋梁架設工事に動員された多くの若手技術者たちが蓄積してきたこの現場での経験は、川田建設の貴重な財産となっていくに違いない。今回の現場は、川田建設を主幹とする3社のJV(共同企業体)が施工し、1日の総労働者数は260人に及ぶ大規模な現場である。若手技術者たちは、それぞれが担当するエリアで川田建設を代表する立場として、多くの協力会社の作業員たちと接してきた。彼らから学んだことも多く、この現場で構築した協力会社や作業員との人脈は、将来へと確実につながっていく。また、厳しい工期を守るために、自ら主体的に考えて身につけた知識やノウハウも貴重だ。「社内でも注目されるビッグプロジェクトを完遂させたという自信と経験が、今後の若手社員たちの活躍のフィールドを大きく広げていくだろう」と、この現場の所長を務める大嶋秀明(事業推進部 次長)は言う。彼らによって受け継がれ、今後経験することになるであろう現場で語り継いでいく数多くのものが、これからの川田建設を発展させる原動力になっていく。

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